Date:2012.3.29
Application:Poser7J Adobe PhotoshopCS2
Credit
Figure: Michael 4 (DAZ)
Hair: GabrielHair (DAZ)
Clothing: BRCDarkThornforM4 , M4_Rock_Style (RMP) , RegencyforMichael4 (DAZ)
「マイウェイ 12000キロの真実」
ノモンハンで自ら死に向かって(ある意味能動的に)突進していった辰雄は、捕虜となったシベリア収容所において
今度はあまりにも悲惨な、「受動的な死」と向き合う事になる。
酷寒の中で過酷な労働を強制され、少ない食糧に飢え、人が簡単に死んではモノのように投げ捨てられる世界。
凄惨としか言いようのない生活の中で、次第に朝鮮人であること、日本人である事に境界線は見えなくなっていく。
ここではむしろ個々の人となりが浮き彫りにされていく。
象徴的なのが、共産党員としてソビエト将校に阿り、優位を確保したアントン(ジョンデ)だろう。
手に入れた権力で日本人に復讐し、朝鮮人のために便宜をはかりながらも、彼は保身のために仲間のチュンボクを陥れる。
そんなアントンの権力の前に、彼らを虐待していた野田軍曹は怯え諂う。
同じ朝鮮人であり、親友であったジュンシクだけが、ジョンデに憤り、彼を非難する。
圧倒的な暴力の中で生き残るために、ひとりひとりの人間の持つ、プライドも夢も思いやりも、
憎悪やこだわりも、すべて押しつぶされていくのは、仕方のない事だ。
その、抵抗できない理不尽を、いくつもの悲劇を、凍りついた瞳で見つめる辰雄の表情で、
彼をそれまで支えてきた信念が揺らいでいるのがわかる。
極端な感情のふり幅を持つ人間が、激しく揺らぐ役は、オダギリという役者の独壇場といっていい。
収容所でも走る練習を続けるジュンシクの姿を無言で眺める辰雄。
「日本は君たちを捨てた」と言われ、それを否定しつつも衝撃を抑えられない辰雄。
コケシを掘る向井の言葉にほろ苦く微笑む辰雄。
向井の死に、上官としてでも日本人としてでもなく、人間として怒り狂う辰雄。
――彼は、静かに、少しずつ変化していっていく。
そのクライマックスが独ソ市街戦だ。
機関銃の乱射で敵味方関係なく撃ち抜かれる中、「退却は許さん」と特攻を強要するソビエト将校に、
愕然とする辰雄の、動揺が痛々しい。
個人的にはノモンハンでの映像を重ねる演出は不必要だったように思える。
そんな事をしなくても、辰雄という男の中で揺さぶられ続けていた何かが、激しく落下する様が
手に取るようにわかる。
そして、彼は、ジュンシクに救われるのだ。
- 作品名
- Detentiion in SIBERIA -MY WAY-
- 登録日時
- 2012/03/31(土) 16:31
- 分類
- Admiration Odagiri